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世界中のミツバチが農薬が原因で激減中?生態系に与える7つの影響と私たちにできる対策3つ

「ミツバチが少なかったからってナニが問題なの?」

と思う人が多いのも無理もありません。

 

しかし、一節では「ミツバチが絶滅した4年後に人類も絶滅する」なんて言われているくらい、私たちの生活はミツバチに依存しています。

 

そして近年、原因不明の現象で世界中のいたるところで「急にミツバチがいなくなった」という報告がされています。

世界中でミツバチが減少している…

↑【タイトル訳】「ミツバチの群れは増えているが、減少率は増加傾向である」青の線はミツバチの群れの数をしめしており、近年は安定しているように見えます。

 

しかし、問題なのは、原因不明でミツバチが大量死する「蜂群崩壊症候群(CCD: Colony Collapse Disorder)」という新しい問題が発生し続けているということです。

 

2014~2017年の間に蜂群崩壊症候群(CCD)が原因でミツバチの群れが24%も減っていることが報告されています。

 

蜂群崩壊症候群(CCD)の特徴は以下の5つだと言われています。

  1. 働き蜂の減少が、短期間のうちに、急激に生じること。
  2. 1.の結果、巣箱内には、蜜、蜂児、女王蜂が生存していること。
  3. 働き蜂が数百匹程度しか生き残っていないこと。
  4. 死虫が巣の中や周りに確認されないこと。
  5. 広範囲に大規模に発生していること。

 

それでは、どのような地域で、この蜂群崩壊症候群が起きているのか見ていきましょう。

 

日本は30年前よりも26%減少。そしてさらに…

 

農林水産省が平成25~30年にかけて行った調査によると、「この5年間、日本の養蜂場においては蜂群崩壊症候群とされる事例は見られなかった。」とされています。

 


情報元:蜂をめぐる情勢 – 農林水産省

↑ただし30年という長いスパンで見ると蜂群数は285群(昭和60年)から213群(平成30年)と26%も減っている状況があることは事実です。

 

減少している原因にはいくつかありますが、特に気になるのは、最近海外で報告されているネオニコチノイド系の農薬です。

 

なぜなら世界中でミツバチの減少の原因とされるネオニコチノイド系の農薬が禁止になる一方で、日本では2019年から規制緩和されはじめているからです。

 

ネオニコチノイド系農薬がミツバチがいなくなってしまう原因になることがとても危惧されています。

 

韓国は4年で75%も減少し続けて…

情報元: 中央日報

韓国農村経済研究員(KREI)によれば、韓国の養蜂農家は天然ハチミツの生産量が75%減少と壊滅的なダメージを受けています。

 

天然のハチミツが取れないので、砂糖水を使った ハチミツの需要が増えているという現象がおきています。

 

北アメリカでは毎年30%が減少…

During the winter of 2006-2007, some beekeepers began to report unusually high losses of 30-90 percent of their hives. As many as 50 percent of all affected colonies demonstrated symptoms inconsistent with any known causes of honey bee death

訳:【2006-2007年の冬にアメリカの養蜂農場では30~90%ものセイヨウミツバチの群れが消えた。

50%ものミツバチの巣は、今までの生態では説明できない状況(嬢王蜂と幼虫は残っているなど)だった。】

情報元:Colony Collapse Disorder | Protecting Bees and Other Pollinators from Pesticides | US EPA

アメリカやメキシコでは蜂群崩壊症候群の事例がたくさん確認されています。

 

中でもアメリカは最も早くからミツバチの大量死が問題化したです。

 

2006年秋から、西洋ミツバチが一夜にして大量に失踪する現象がアメリカ各地で確認され、その数は、アメリカで飼われているミツバチの約4分の1にものぼりました。

 

研究によると、その後も毎年30%以上のミツバチが減少しているそうです。

 

また、カナダのケベック州では2006~’07年で養蜂場のミツバチの25%が死亡したと発表されています。

 

ヨーロッパは国によって、増えたり減ったり


情報元:世界におけるミツバチ減少の現状と 欧米における要因(芳山 三喜雄,2010)

ヨーロッパでは、ミツバチの数が減少している国と、増えている国の両方があります。

 

ミツバチの減少が顕著な国は、ドイツ、スイス、スウェーデン、オーストリアです。

 

特にドイツでは、蜂群崩壊症候群が問題化した2006年と1960年を比較すると、ミツバチの数は半減しました。

 

一方で、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなど地中海側の国とフィンランド、ポーランドではミツバチの数は増加しています。

 

ミツバチの数の変動は、各国の養蜂業の在り方によるものが大きく、なぜ増えている国と減っている国があるのかは解明されていません。

 

インドではある社会実験が行われた。その結果が…

↑【閲覧注意】素手で取るインドの伝統的なはちみつのとり方。しかし、インド南部のニルギリス山脈の地域で、ミツバチが激減しています。

 

インドでは2009年に、PTI通信(Press Trust of India)によって、携帯電話本体やその基地局から発せられる電磁波がミツバチにとって脅威になり得る、という研究結果が発表されました。

 

研究を行ったSainuddin Pattazhy博士によると、電波塔から発せられる電磁波は、「ミツバチのナビゲーション能力を損なわせる」とされています。

 

ナビゲーション能力とはミツバチが個々の巣から出発して、蜜を集め、巣に戻って蜜を提供し、栄養分を確保するのに欠かせない能力のことです。

 

また、さらなる実験として携帯電話をミツバチの巣の近くに置くと、働きバチは巣箱に戻ることができなくなり、巣箱には女王蜂と卵だけが残され10日以内で巣が全滅してしまった、という結果がでたそうです。

 

オーストラリアではミツバチを殺すウィルスが発生

↑「オーストラリアのミツバチは人類によって絶滅するのか?」を取り上げた番組。

 

オーストラリアでも、同様に蜂群崩壊症候群と判断される事例が2000年代から確認されています。

 

アデレード大学のホーゲンドールン博士は、

「ここ10年間、ミツバチの数は比較的安定しており、オーストラリアではDWV(Deformed Wing Virus)は確認されてこなかった。」

と述べています。

 

DWVとは、ミツバチの死を引き起こすとされているウイルスの一つです。

 

このウイルスについては、また後ほど詳しく話していきます。

 

つまり、オーストラリアでは、今まではウイルスが原因でミツバチが大量死する、なんてことはなかったのですが、どうやら状況が変わってきているようです……。

 

「実は、最近、アメリカのミツバチに『ファウルブロード』という病気がオーストラリアのミツバチを脅かしている。」とホーゲンドールン博士は言っています。

 

この『ファウルブロード』という病気は「幼虫がスライムに変わる恐ろしい病気」だそうです。

 

細菌によって悪臭が引き起こされるため、養蜂家は定期的に監視する必要がありますが、その管理はまだ不十分な段階にあるそうです。

 

ブラジルでは5億匹のミツバチが3ヶ月で大量死

つい最近2019年8月19日にアメリカのCBSニュースで、ブラジルにおける蜂群崩壊症候群の現状が報じられました。

 

CBSニュースによると、なんと、ブラジルでは、3カ月だけで5億匹のミツバチの死亡が確認されているそうです。

 

ブラジルでは、ミツバチの大量死を引き起こすとして、アメリカやヨーロッパで使用が規制されているネオニコチノイド系農薬を依然として使用しているため、今後も被害が拡大していくことが予想されます。

 

ロシアでは10年間でミツバチの巣が2割減

情報元:ロシアでミツバチの大量死が観察され、学者らが警鐘を鳴らす – Sputnik 日本

ロシアでは10年間の間にミツバチの巣が2割も減っていることが報告されています。

 

現在も調査中で、より多くのミツバチがいなくなっている可能性も示唆されています。

 

何が原因?ミツバチが居なくなると困る7つの理由

野生の植物が育たなくなる

ミツバチが自然にもたらす大きな恩恵が、自生する植物の受粉活動です。

 

特にミツバチは1番受粉に貢献している昆虫と言われており、ミツバチがいなくなると、野生の植物は育たなくなってしまいます。

 

ひどい場合、いつの間にかお花畑が消えていた、とうこともあるかもしれません。

 

また、それらの植物に支えられている別の昆虫や動植物にも影響が出てきます。

 

たった1種のミツバチがいなくなることで、生態系全体のバランスが崩れてしまう恐れがあります。

 

人間の手で人工受粉しなければいけない

↑ミツバチがいなくなれば、このように人間の手で人工受粉を行わなければなりません。

 

人間の手作業による人口受粉は、すでにミツバチ不足に悩んでいる中国で行われています。

 

中国南西部では、「バケツ一杯の花粉をリンゴやナシの花ひとつひとつにブラシで塗りつけている。」というのですから、驚きです。

 

しかし、実際には、人間がミツバチと同程度の受粉を行うことは不可能であり、作物や植物の生育に影響が出ることは免れないでしょう。

 

農家でハウス栽培ができなくなる

近年では、ハウス栽培によって、一年を通して色々な野菜や果物が食べられるようになりました。

 

しかし、そのハウス栽培もミツバチいなければ成り立ちません。

 

ミツバチが減少すれば、これまでハウス栽培で生産されていた食べ物は手に入れることが難しくなります。

↑また十分な受粉がなされないことで、奇形の野菜や果物が増加する可能性もあります。

 

実際にミツバチがいなくなると消えてしまうと言われている食品には、

  • アーモンド
  • リンゴ
  • アボカド
  • ブルーベリー
  • ブドウ
  • モモ
  • コショウ
  • イチゴ
  • クルミ
  • スイカ
  • コーヒー

など、言われています。

果物野菜だけではなく、コーヒーもなくなることに驚く人もいるのではないでしょうか?

 

食品価格の高騰

消えはしないものの、生産量が少なくなり、価格が高騰する食品もあります。

 

乳製品

ミツバチの恩恵を受けているのは人間だけではありません。

 

実は、乳牛もミツバチと密接な関係を持っているのです。

 

乳牛の餌の大分部は、ミツバチによる授粉を必要とするアルファルファの干し草です。

↑実はこの牧草もミツバチの恩恵を受けている。

 

アルファルファがなくなると、乳牛のエサが足りなくなり、バター、牛乳、チーズができなくなってしまいます。

 

また、本来なら捨ててしまうはずのアーモンドの殻は、実は乳牛のエサに混ぜることで、餌のコストを抑えており、そのおかげで乳製品を安価に製造することができています。

↑アーモンドの殻。

 

しかし、アーモンドの栽培もミツバチに依存しているため、ミツバチの数が減少すると、アーモンドの生産も減ることになります。

 

餌のコストが大きくなれば、これまで同様に畜産業を行うことも難しくなってきます。

 

はちみつ

当然のことですが、ミツバチがいなければ、ハチミツを手に入れることができません。

 

ミツバチの減少がこのまま進めば、はちみつの生産量も低下し、価格が高騰することが予想されます。

 

また、ハチミツは食べ物以外にも、さまざまな利用方法があります。

 

化粧品の成分としても使われたり、香油、咳の薬、のど飴にも使われています。

 

これらのはちみつを使った製品ももしかすると姿を消してしますかもしれないのです。

 

食糧供給の問題が発生する

ミツバチは地球の生態系の中で、極めて重要な役割を果たしています。

 

国連の報告によると、世界の食料の90%をまかなっている100種の作物のうち、70種以上がミツバチの授粉に支えられているそうです。

 

イギリスの放送局BBCは、もし世界からミツバチがいなくなってしまったら、スーパーに並んでいる食べ物の2分の1はなくなってしまうと、報道しています。

 

綿が育たなくなりデニムやTシャツの価格が高騰する

日常で使うあらゆる製品に使われているコットン、その原材料である綿の栽培もミツバチの受粉によって成り立っています。

 

そのため、乳製品やはちみつ同様に、コットンを用いた製品、例えばデニムやTシャツなどの値段が上がってしまう恐れがあります。

 

人も栄養不足に!

ミツバチが減少することで、人間の健康にも悪影響がでるのではないかと言われています。

 

私たち人間が健康でいるためには、さまざまなビタミンや栄養素が必要です。

 

2011年、サンタバーバラ大学の生態分析統合センターが、

世界中のミツバチが授粉する作物が、脂質や、カルシウム、フッ素、鉄分、ビタミンA、C、Eなどのミネラルの大半を担っている

ことを発見しました。

 

これらの栄養素は私たちの健康に必要不可欠なもので、これらすべてが不足すると、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなったり、傷の治りが遅くなるとされています。

 

世界でミツバチが減少している7つの原因

世界中でミツバチが減っている原因は蜂群崩壊症候群(CCD)だけではありません。

その他の原因についても見ていきましょう。

化学物質による影響

一番の原因と推測されているのが、化学物質、特に農薬に使われている成分です。

ネオニコチノイド系農薬

ネオニコチノイド系農薬は、たばこに含まれる有害物質ニコチンに似た作用を持つ農薬で、1990年代に開発されました。

 

一般に、

 

  • アセタミプリド
  • イミダプロクリド
  • クロチアニジン
  • ジノテフラン
  • チアクロプリド
  • チアメトキサム
  • ニテンピラム
  • フィプロニル

 

の8種を合わせてネオニコチノイド系農薬と言います。

 

昆虫の中枢神経系を攻撃して、神経細胞の過剰刺激、まひを起こし、死に至らしめる効果を持つため、殺虫剤として、140種類以上の農作物に使われ、120か国以上で使用されています。

 

米国の農業環境の研究によると、ミツバチをはじめとする昆虫にとって、25年前に比べて48倍も毒性が高いとするいう最新のデータも報告されています。

 

また、その研究では、「ミツバチ減少の最大の原因はネオニコチノイド系農薬が広く使用されている」とも述べられています。

 

研究者の中には、「ネオニコチノイドは新たなDDTのようなものである。」、と表現している人もおり、特にミツバチに対してはDDTの1000倍も有毒であるとされています。

 

DDT:1900年代に広く使われた農薬で、レイチェル・カーソン(1962)『沈黙の春』によって発がん性など、生物生態系への危険性が指摘され、現在では使用禁止となっています。

 

研究の中で、ミツバチに対する毒性、殺虫剤が毒性を保つ期間、年間使用量を、新たな方法で測定したところ、毒性上昇の原因の92%はネオニコチノイドにあったそうです。

 

加えて、ネオニコチノイド系農薬は、環境の中で1000日以上も毒性が残留してしまうこともあり、その使用はミツバチを含め、生物生態系に大きな影響を及ぼします。

 

グリホサート

もう一つミツバチの死の原因ではないかとされている化学物質があります。

 

それがグリホサートす。

グリホサートは、旧モンサントの除草剤「ラウンドアップ」に含まれる有効成分で、研究者は、このグリホサートがミツバチの腸内細菌を破壊することで、有害な細菌に感染しやすくなり、死亡する原因となると指摘しています。

 

ハウス栽培での長時間労働による過労

農薬以外にも、ミツバチの大量死を引き起こすと考えられている要因はいくつかあります。

 

その一つが、過労です。

 

昆虫などの受粉を必要とする農作物のうちの90%がミツバチによる受粉であり、単一栽培の農地やハウス内での労働、ハウス内などでの長時間の使用がなされています。

 

そのため、ミツバチに大きな負荷がかかり、過労死してしまうのです。

 

害虫やウイルスによる被害

ミツバチの害虫・ウィルスとなるのは大きく分けて3種類です。

ダニ

養蜂場において最も深刻な寄生虫は、へギイタダニというダニです。

 

へギイタダニに寄生されると、2年以内に蜂群崩壊が起きるため、このダニを駆除することは、今では養蜂業の日課になっています。

 

このダニは、ミツバチに対し、大きく分けて2つの悪影響を及ぼします。

 

 

幼虫へ寄生


引用:化学と生物 Vol 48.
1つ目は、幼虫への寄生です。上の写真に写っているのがへギイタダニです。

 

へギイタダニの寄生が広がると、幼虫が全滅してしまうので、巣全体が崩壊してしまいます。

 

ウイルス

2つ目はウイルスの誘発です。

 

へギイタダニはミツバチの免疫力を低下させるため、へギイタダニが巣に寄生すると、成虫がウイルス感染を起こす可能性が上がります。

 

ミツバチには18種類のウイルスの存在が確認されていますが、それらの内のいくつかは、ミツバチの健康に害を及ぼします。

 

事例として、ヨーロッパではDWV (Deformed Wing Virus)ABPV (Acute Bee Paralysis Virus) というウイルスによる蜂群崩壊が確認されています。

 

細菌

細菌の感染によって生じるミツバチの疫病として、アメリカ腐蛆病(AFB)ヨーロッパ腐蛆病(EFB)があります。

 

AFBとEFBは幼虫が、細菌または胞子を含む餌を摂取した場合にのみ発生し、成虫への影響はありません。

 

しかしながら、これらの疫病は世界中の蜂群で常に高頻度で発生していています。

 

アメリカやカナダでは、疫病の原因となるウイルスの抑制対策が取られ大きな問題が解決しつつあります。

 

しかし、最近では、イギリスやスイスで発生頻度が上昇し、深刻な蜂病となっています。

 

ノゼマ微胞子虫

ノゼマ微胞子虫という虫は、ミツバチに感染して細胞内に大量に胞子を形成し、腸管疾患などの症状を引き起こします。

 

スペインの蜂群の崩壊は、このノゼマ微胞子虫が原因ではないかと言われています。

 

蜜源植物(レンゲなど)の減少

「はちみつといえば 『蓮華(れんげ)』」と言われるほど、ミツバチと蓮華は深い関係があります。

 

蓮華は、みつばちにとって大切なの蜜源植物なのですが、になっている蓮華。

 

今、この蓮華も減少していることを知っていますか?

 

昭和60年には21,900haあった蓮華畑は、平成26年度には8,900haにと半分以上もがまで減少しました。

 

減少の背景としては、蓮華の栽培自体が減ったことや害虫による被害などが挙げられます。

 

蜜源植物が減ってしまうと、ミツバチは蜜を求めてより広範囲を飛び回り、従来以上の負荷がかかります。

 

状況がひどい場合、蜜を得れられず、巣が駄目になってしまうことも考えられます。

 

その他にも、蜜源植物は春から初夏に集中する反面、真夏から秋には花が減少するので、季節的なギャップがあり、栄養の偏りが生じることもあります。

 

熊による被害

大きな原因ではありませんが、クマの影響もあります。

 

ディズニーのあの有名なキャラクターでおなじみのように、クマは蜂蜜が大好きです。

 

そのため、毎年クマによる被害が確認されています。

 

クマが蜂蜜を狙ってハチの巣を壊してしまうと、その巣は復活することができないため、大量のミツバチが死んでしまうのです。

 

5Gの電波も影響?

まだ検討段階ですが、5G電波も蜂群崩壊に影響しているのではないか、という見立ても出ています。

 

5Gが人体の健康に害を及ぼすことは、以前から懸念されてきましたが、それを裏付けるような事象がありました。

 

それが、ミツバチの大量死です。

 

英紙「Daily Star」(8月2日付)によると、5Gのポールアンテナの近くで蜂が大量死している様子がアメリカで撮影されたそうです。

 

もし、このまま5Gが導入されれば、蜂群崩壊症候群がより深刻化する可能性もあります。

 

世界で行われているミツバチの減少を防ぐ対策

農薬の規制・禁止

今、世界の多くの国で、農薬の使用規制が積極的に行われています。

 

早期から、ミツバチの減少が問題化していたアメリカのオレゴン州では、2013年に暫定的な規制措置が始まり、ワシントン州シアトル市議会では2014年9月、ネオニコ系農薬の使用と購入を禁止する決議が全会一致で可決されました。

 

EUでも2013年に農薬規制が取り決められ、特にフランスでは2018年からネオニコチノイド系農薬5種の使用が全面禁止になりました。

 

また、韓国の農村振興庁は前述のネオニコチノイド系農薬3種について、「EUの評価が完了するまで国内の新規および変更登録を制限する」と発表しています。

 

中国でもネオニコチノイドと性質が似ている浸透性農薬、フィプロニルの使用を規制し、アジア諸国でも規制が進んでいます。

 

しかし、残念ながら、日本は、農業の自然条件から農薬を使わざるを得ないことが多く、なかなか規制が進んでいない状況です。

 

最新技術によるミツバチの生態解明

ミツバチの減少の原因を突き止め、対策を立てるために、ミツバチについて知ることはとても重要です。

 

ミツバチに関する学問はApilogyと呼ばれ、数は決して多くはありませんが、ミツバチの生理学や認知科学、生態学などを研究している研究者たちが世界中にいます。

 

日本では、玉川大学がミツバチの研究で有名であり、ミツバチ科学研究センターが設置されています。

 

その他にも、東京大学などにもミツバチの研究をしている先生がいます。

 

ミツバチの生態の解明が進めば、ミツバチの減少を食い止めることができるかもしれません。

 

AI技術によるダニ対策

先ほど、ミツバチの減少の原因の1つとしてミツバチへギイタダニを紹介しました。

 

なんと、このダニの寄生を早期に発見できるAI(人工知能)がスイス連邦工科大学ローザンヌ校の学生によって誕生しました。

 

↑これは、AIがインプットされたダニの写真データを基に、ミツバチの巣にあるダニの死体を瞬時に見分ける、というものです。

 

ダニはとても小さいので人の目ではなかなか見つけることができず、「気が付いた時には巣全体がやられていた……。」ということも珍しくありません。

 

しかし、このAIを用いれば、早期にダニの寄生を発見し、対処することができるのです。

 

このプロジェクトは2017年に始まり、アプリとして導入が進んでいます。

 

また、最近では、ドローンに取り付けて、害虫の動きが活発になる夜間に電気光線によって、害虫を駆除できるAIも開発されています。

 

ミツバチにかわる受粉昆虫の使用

2018年の11月に、島根県農業技術センターで、イチゴ栽培において、ミツバチの代わりにヒロズキンバエ「ビーフライ」が受粉の役割を果たせることが発見されました。

 

受粉昆虫とは、植物の受粉を手助けしてくれる虫のことです。

 

本来、受粉昆虫は植物の種類によって決まっており、他の昆虫が受粉することはなかなか難しいので、今回の発見は大変画期的なもので注目されています。

 

しかも、同センターの調査によると、ビーフライで受粉をしたハウスの出荷率は75%以上となり、ミツバチに頼った場合よりも、単価の高い正常果が増え、粗収益も高まったそうです。

 

この、ビーフライについての研究は今も続けられており、期待が高まっています。

 

私たちにもできるミツバチを保護する対策3つ

ネオニコ系の農薬、除草剤を使わない

「ミツバチが減少している理由」でも挙げたように、ミツバチが死んでしまう一番大きな原因は農薬や除草剤に含まれる化学物質です。

 

「でも、農業なんてみんながやってるわけじゃないし、私には関係ないかも……。」なんて思っていませんか?

 

 

もし、あたなが趣味のガーデニングや、家の庭の手入れに除草剤を使っているなら、なるべく使わないようにしましょう。

 

ちなみに、厚生労働省の調査によると、2013年の段階で、55%の米からネオニコ系の残留農薬が検出されています。(基準値未満ではある)

 

有機野菜を買うようにする

有機野菜とは、3年、または2年以上、農薬や化学肥料を使わない田畑でとれた野菜のことを指します。

 

有機野菜は栽培過程において可能な限り化学物質の使用を避けているため、人体に化学的な危害が加えられる可能性は低いと言えます。

 

加えて、調査段階ですが、一部の野菜を対象にした分析実験では、通常栽培の野菜に比べて、有機野菜の方がビタミンやミネラルが豊富に含まれているとうデータも出ています。

 

ミツバチなどの生き物や、人間にも良いことづくしなんて、とっても素敵ですね。

 

スーパーで簡単に購入することができるので、是非試しに買ってみましょう。

 

ミツバチが大量発生したら「養蜂場」に連絡

そして、もしあなたが偶然ミツバチが大量に死んでいるところを発見してしまったら……

 

そのようなときは、すぐ養蜂場の方に連絡をしましょう。

 

早く連絡することによって、被害の拡大を防いだり、何が原因で死んでしまったのか調査を進め、再発を防ぐことができます。

 

まとめ「ミツバチがいなくなると人間は栄養不足になるだろう」

少し草の生えているところに行けば簡単に出会える、身近なミツバチが、実は大きな問題に直面していたということを知って頂けたでしょうか?

 

今回取り上げられたミツバチの問題だけにとどまらず、人間の活動によって、様々なフィールド、スケールで自然環境が変化しています。

 

私たち人間は、他の生き物同様に自然に生かされた存在であることを心にとどめて行動していくことが大切なのではないでしょうか。

蜜蜂被害事例調査
www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_mitubati/honeybee_survey.html
Australia’s Native Bees Are In Trouble, Mon 20 May 2019
https://10daily.com.au/news/a190517pzbae/australias-bees-arent-dying-but-theyre-in-trouble-20190520
ミツバチがブラジルで死んだ:5か月以上、5億匹以上のミツバチがブラジルで3か月以内に死んだ-そして環境保護論者は心配している-CBS News
https://www.cbsnews.com/news/more-than-half-a-billion-bees-dropped-dead-in-brazil-within-3-months-and-environmentalists-are-wor
Bee Information
https://beeinformed.org/
United States Department of Agriculture, Honey bees
https://www.aphis.usda.gov/aphis/ourfocus/planthealth/plant-pest-and-disease-programs/honey-bees/!ut/p/z1/04_iUlDg4tKPAFJABpSA0fpReYllmemJJZn5eYk5-hH6kVFm8X6Gzu4GFiaGPu6uLoYGjh6Wnt4e5mYGwa6m-l76UfgVFGQHKgIAB3fNrQ!!/
蜂蜜やミツバチ、広がる農薬汚染 9都県で検出 :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28H21_Y7A820C1CR0000/
ミツバチは人類にとってとても大切な役目を果たしていた。ミツバチが絶滅したら起こりうる10のこと : カラパイア
http://karapaia.com/archives/52224585.html
ミツバチが死んだ場合に起こる10のこと-Toptenz.net
https://www.toptenz.net/10-things-happen-bees-died.php
農業の毒性が48倍に、『沈黙の春』再び? 研究 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/080800467/
除草剤「ラウンドアップ」がミツバチ大量死の原因との研究結果が発表される | スラド サイエンス
https://science.srad.jp/story/18/10/01/0814222/
Glyphosate perturbs the gut microbiota of honey bees | PNAS
https://www.pnas.org/content/115/41/10305
ミツバチが直面している危機とは? ‹ みつばち百花
http://bee-happy.jp/%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%81%B0%E3%81%A1%E3%81%8C%E7%9B%B4%E9%9D%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/
花粉交配用ミツバチの減少と野菜生産への影響について-月報 野菜情報-調査報告-2009年6月
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/0906/chosa1.html
世界におけるミツバチの現状と減少要因 化学と生物 Vol.48, No 8, 2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/48/8/48_8_577/_pdf/-char/ja
芳山三喜雄(2010)世界におけるミツバチ減少と欧米における要因 ミツバチ科学28(2), 65-72
http://libds.tamagawa.ac.jp/dspace/bitstream/11078/1299/1/28-2_2010_065-072_Yoshiyama.pdf
大人気の「レンゲハチミツ」が減っているのはなぜ? | 週末養蜂家のニホンミツバチのおいしいはちみつ
https://syumatsu-yoho.com/38/node/1572
5Gアンテナ周囲でミツバチが大量死する超ヤバい事態! 人体への影響を訴える研究多数、懸念広がる!|ニフティニュース
https://news.nifty.com/article/item/neta/12262-365335/
スイスで5G反対運動
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%A75g%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E9%81%8B%E5%8B%95/ar-AABoORM#page=2
日本農業新聞 – 授粉昆虫ビーフライ有望 イチゴ 奇形果減少 出荷率75%に 冬に蜂と併用 島根県農技センターが実証・普及
https://www.agrinews.co.jp/p45764.html
農林水産省 農薬対策関係
www.env.go.jp/water/noyaku.html
有機JAS認定農薬一覧表 農薬使用量の国際比較(2018)
農薬使用量の国際比較2018年版
FAOSTATによる1haあたりの農薬使用量の比較-日本がどれくらい農薬を使っているか世界と比較するためFAOSTATにて無料公開しているデータを調べてみました。データは2018年2月の時点で2015年までのデータがそろっていました。まずは日本とアメリカ、イギリス、フランス、中国の1ヘクタールあたりに何キロの農薬を使っ...

 

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