あなたが見たことのあるキレイな青い海が、色とりどりのサンゴ礁が、すでに絶滅して過去のものになっているとしたら驚きますか?
本当に驚くべきことなのですが、わずかたった2年の間に生きているサンゴが残っている割合が60%から1%にまで減ってしまった地域もあります。
日本でも起きています。
(あなたが潜ったキレイな沖縄の海は、既にないかもしれません)
サンゴ礁がなくなった世界がどうなるのか、一緒にその
たった3年で世界中のサンゴ礁が劇的に白化してきている…
70年で全世界のサンゴ礁の20%が死んでいるという報告がありますが、現状はそれ以上に深刻です。
なぜなら3年で、残っているサンゴ礁の90%も白化したり、瀕死したりという状態が、今タイムリーで起きているからです。
グレートバリアリーフ:1年で95%のサンゴが白化
世界遺産に認定されているオーストラリアのグレートバリアリーフですが、観光で人気のケアンズからクックタウンにかけての広がる90%が2016年の異常気象で白化してしまいました。
距離にして1000km、東京から福岡までが焼け野原となったのをイメージすると、どれだけ被害が深刻化がわかります。
↑2010年のまだサンゴが色とりどりだった時のグレートバリアリーフ。
ハワイ:2年で56%のサンゴが白化
アメリカ海洋大気庁によれば、ハワイ島やオアフ島にあるサンゴ礁の56%が白化していることを報告しました。
さらにこれからもっと大規模な白化が2030年のうちに起こることがハワイ州立海洋専門学校により発表されています。
ハワイ大学のリサーチによると100年の間に90%も漁獲量が減っている事実も。
見えないところで生態系へのダメージが私たち人間にも襲いかかっています。
サモア:生きているサンゴはわずか1%
ハワイから8000km離れたサモア諸島には124のサンゴ礁がありますが、生きているサンゴ礁はまずか1%しかないという衝撃的なニュースが流れました。
さらに80%のエリアでは瀕死状態のサンゴが10%しか残っていないということです。
2年前までは60~80%がサンゴに覆われていた豊かなサンゴ礁だったのですが、たった2年で壊滅的な状況にまで追いやられてしまいました。
石垣島・西表島:10年で66%のサンゴが白化
↑石垣島と西表島の間にある国内最大級のサンゴ礁「石西礁湖」で見られるサンゴの白化。
沖縄でも、もっとも深刻な影響を受けていると言われる西表島では、10年で66%のサンゴ礁(被度50%のサンゴ礁)が白化していることがわかりました。
特に2016年から大規模な白化現象が確認されていますが、回復する状況は全く見込めないそうです。
なぜ?サンゴ礁が白化している原因7つ
ここ2〜3年で急激に世界中のサンゴ礁が白化してしまっているわけですが、問題はかなり複雑で、スグに改善できるものではありません。
しかし、これらの原因を解消しない限り、海の中だけではなく、私たちの生活はマスマス厳しくなります。
サンゴが白化する最終的な原因は褐虫藻と共存できなくなること
↑褐虫藻と共存する生きたサンゴと白化してサンゴ。
情報元:National Oceanic and Atmospheric Administration
サンゴは褐虫藻(かっちゅうそう)という藻の仲間と共存して生きています。
褐虫藻が光合成をすることによって、サンゴの代謝を助けたり、免疫機能、消化機能を維持できているからです。
しかし、サンゴに過度なストレスがかかると、サンゴは褐虫藻を吐き出してしまい、共生することができなくなります。
すると褐虫藻から栄養をもらっていたサンゴは栄養不足、免疫低下などにより、死んで(白化して)しまうのです。
【海洋酸性化】海に溶け込んだCO2が生物の成長を止めている
サンゴにおいて重大はストレスを与えていると言われる原因の1つが海中に含まれるCO2の増加です。
サンゴの骨格は炭酸カルシウムでできていますが、CO2が増えすぎてしまうと、炭酸カルシウムを作る「炭酸」が足りなくなります。
サンゴだけではなく貝やカニ、ウニの殻も炭酸カルシウムでできていてます。
これらの生物は、海の中に豊富な炭酸を栄養として、大きく成長できているのです。
逆に炭酸が薄くなった海の中では、成長できなくなるため多くの生物が弱体化してしまいます。
壊滅的ダメージを与える海水温度の上昇
↑サンゴが白化する基準とされる30℃を超えた沖縄の海水温度。
情報元:沖縄気象台
サンゴは海水温度が上昇すると、体内にいる弱った褐虫藻を排出する機能をもっています。
褐虫藻は水温が上がると光合成する力が弱くなるからです。
しかし、水温が高いままだと、健康な褐虫藻までサンゴは排出してしまいます。
その結果、最後にはすべての褐虫藻がサンゴの体内からいなくなり、最終的に白化してしまうと言われています。
サンゴ礁は27℃で健康を維持できますが、30℃を超えると白化すると言われています。
2017年7月には沖縄で30.2℃と過去最高温度が記録されています。
↑世界的に見ても海水温度は過去30年間で1.5℃も上昇。
情報元:沖縄気象台
この調子だと近い未来に、世界中のサンゴが死滅することになるでしょう。
また、サンゴだけでなく、他の魚介類が海水温度の上昇で大量死したというニュースも出てきています。
↑50万体ものムール貝が海水温度の上昇により、茹で上がってしまい全て死んでしまいました。
農業・工業によるプランクトンの異常発生
農業や工業から排出される、化学肥料や化学物質などの汚染物が、海や湖に流れると生態系を破壊して、赤潮やアオコなど、プランクトンの異常発生を度々おこしています。
褐虫藻が栄養を得るためには光合成が必要なのですが、異常発生したプランクトンによって日光が遮られ、光合成できなくなります。
するとサンゴに栄養がいかなくなるのでサンゴは死んで(白化)しまう。
漂流物による水質汚染
赤潮やアオコなどのプランクトンだけでなく、プラスチックごみが日光を遮ってサンゴを殺してしまっています。
現在、海には少なくとも1億5000万トンものプラスチックごみが存在していると言われています。
50キロの人間、30億人分の重さに値します。
世界人口が72億人なので、人間の半分ほどのプラスチックごみが海にあるということです。
日焼け止めにうよる汚染
ハワイでは日焼け止めに含まれる「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」などの紫外線吸収剤がサンゴを白化させたり、サンゴの遺伝子を傷つけたりしているとして法律で2021年から禁止されました。
実際に「オキシベンゾン」は人間も皮膚から吸収してしまい、母乳の中からもオキシベンゾンが検出されたという事例がヨーロッパでも出ています。
日焼け止めは、皮膚がんを防ぐのにとても効果的ですが、今後はより私達の健康と一緒に環境にも配慮した方法を考える必要があります。
マイクロプラスチックによる汚染
サンゴに住む褐虫藻のサイズは0.01ミリ程度で、マイクロプラスチックの大きさに近いものがあります。
東京経済大学の研究チームがマイクロプラスチックが入ったサンゴに褐虫藻が住むか実験した結果、マイクロプラスチックを取り込んだサンゴに褐虫藻が定着率は、わずか半分でした。
マイクロプラスチックを含まないサンゴへの定着率は100%でした。
このことから、マイクロプラスチックがサンゴに入ってしまうと、褐虫藻が住むことができず白化を起こす原因になるといえます。
サンゴが白化し続けるとどうなる?
サンゴ礁は「海中の森」のようなもので、多くの生態系が維持されています。
森林破壊が深刻な問題であるように、サンゴ礁の破壊や白化が進むと、地球全体に深刻なダメージを与えることになります。
魚や貝などの生物がいなくなる
↑サンゴと共生するエビ。
サンゴは海の中の森のようなもので、多くの魚や、エビ、イソギンチャク、ヒトデ、エビ、カニ、プランクトンなどの海洋生物が住みついています。
サンゴが白化してしてしまうと、共生していた他の生物も住めなくなってしまうので、住めなくなります。
さきほども、書きましたがハワイでは100年で90%も漁獲量が減っています。
ある島国ではタンパク質の70%をサンゴ礁でとれる魚に依存しているので、食糧危機をもたらすのも時間の問題でしょう。
私たちが食べている魚介類が食べられなくなる未来が待っていることも忘れてはいけません。
二酸化酸素が増加し続ける
サンゴや海藻類など、海の生態系が吸収する二酸化炭素は地球全体の10%以上をしめています。
陸上の緑化活動が進む中で、海の中の緑化は壊滅的な方へと進行してしまっています。
海中の二酸化炭素が増えれば、ますます海の生物は育たなくなり、『不毛の海』となってしまいます。
クリオネなどの小さい生物から消えていく…
クリオネは「ミジンウキマイマイ」というプランクトンを餌にして生きています。
このミジンウキマイマイは、「アンゴナイト」とよばれる炭酸カルシウムでできた殻でできています。
↑海の妖精から豹変して捕食するシーンが公開されています。
しかし、2008年に北極海で行われた調査では、このアンゴナイトの殻を作ることができないほど、炭酸、カルシウムが不足している事がわかりました。
つまり、クリオネの餌がなくなるので2040~2050年には、クリオネが見られなく可能性もあります。
もちろん、消えていくのはクリオネだけではありません。
近い未来に魚介類が激減し食べられなくなる日がくる
サンゴ礁の破壊が進むと、最終的に海は不毛になってしまうので、私たちが今食べている海の幸を食べられなくなる日がくるでしょう。
サンゴがなくなることで
- 水産資源が劇的に減少
- CO2の増加を加速化
- 地球温暖化
- 海水の温暖化
- オゾン層の破壊
- 海面上昇
など、様々な環境破壊を加速させます。
【まとめ】私たちにできることは「温室効果ガスの抑制」
サンゴ礁を生活の糧として生活している地域の人や専門家はすでにコトの深刻さに気がついています。
わずか1年で95%のサンゴサンゴ礁がグレートバリアリーフからなくなってしまっています。
私達にできる大きな仕事と言えば、地球温暖化を食い止めたり、これ以上、海の生態系を傷つけないことでしょう。
具体的な方法は、以下のリンクで紹介しています。
ぜひ、行動に移して現状を変えていきましょう。
シェア・コメントしていただけると、より多くの人にこの事実を知っていただけます。
サンゴにとって共生も必要不可欠なわけhttps://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/181116yuyama-1.pdf
Scientists: Half of Hawaii’s Coral Reefs Bleached
https://www.voanews.com/a/hawaii-coral-reef-bleaching/4099707.html
Coral Bleaching Taskforce: More Than 1,000 km Of The Great Barrier Reef Has Bleached | IFLScience
https://www.iflscience.com/environment/coral-bleaching-taskforce-more-1000-km-great-barrier-reef-has-bleached/
沖縄気象台
https://www.jma-net.go.jp/okinawa/data/kiko/2018_all.pdf
マイクロプラスチックはサンゴと褐虫藻の共生関係を阻害する
https://www.u-presscenter.jp/item/4b91cd3112d8bf19b41b3d6c988af905.pdf
環境省_奄美大島、沖縄島、石西礁湖及び西表島周辺におけるサンゴ白化現象の調査結果について(モニタリングサイト1000サンゴ礁調査 平成30年度補足調査)https://www.env.go.jp/press/105831.html
沖縄・西表島のサンゴ激減 「被度」50%以上、全体の0.1%に | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/253570
サンゴの白化につながる共生藻の排出メカニズムを解明 | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2014-12/aaft-122914.php
海洋酸性化がサンゴ礁域の石灰化生物に及ぼす影響http://ruby.fgcu.edu/courses/twimberley/EnviroPhilo/Suwa.pdf
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